当時、離婚したばかりで、娘を連れて実家に戻っていました。実家といっても持ち家ではなく、狭いアパートです。

 娘の小学校入学を期に、学校の近くに小さい借家を見つけ、娘と二人暮らしになりました。ところが、1年もたたないうちに、家主さんが「家を売るので出てくれ」と......。

せっかく学校にも私の職場にも通いやすいところを見つけたのに、あんまりですよね。 借家人の権利を主張して居座るような強さもなくて、両親に相談しました。

しかし、両親も年金生活、それほどゆとりはありません。 大人三人が深刻な顔で話しているのを、7歳の娘はよくわからないながら聞いていたようです。

「見て、見て、あたまき~ん」と言うので振り向くと、娘は自分の貯金箱(豚さん)を、頭の上にのっけていたのでした。 これには両親も私も大笑い。悲観的な考えもふっとんでしまい、両親はなけなしの貯金から、頭金300万を貸してくれることになりました。 

残りは銀行からのローンですが、そのときはまだ臨時社員だったので、会社からの保証がないはずのところを、社長の温情で書類を書いていただき、ローンを組むことができました。

 親にも社長にもありがたく思う一方で、豚の貯金箱を頭にのせて得意げだった娘の姿を思い出すと、笑えてしょうがないのです。