私は30代の頃に友達にお金を借りました。

当時の私はとある宗教団体に入っていて、毎月1~5万円程のお布施をしていました。その時はそれが当然の事で、しなければ信心が足りていない、もっともっとしなければと思っていました。

最初は自分の稼ぎから出せる範囲で頑張っていましたが、誰かが100万円お布施した、1000万円お布施したと聞けば自然と競争心が煽られ、自分ももっと頑張らなければと思います。

宗教団体を脱退した今となっては、あの時の自分はおかしくなっていたとしか思えません。

お布施を払うために、友達やそれほど親しくもない職場の同僚にまでお金を借りようとしていたのですから。私は職場の同僚一人一人に声を掛けました。

自分の入っている宗教がいかに素晴らしいかを説明して、そしてお金を出してくれるように頼みました。当然誰もが変な顔をしていましたが、当時の私は気付いていなかったのです。

そして借金を断る同僚たちに、反対に苛立ったりしていました。なぜわかってくれないのか、と。同僚の中には1万円くらいならと出してくれる人もいましたが、私には全然足りません。

そして頼んだのは、私の数少ない友達でした。当時は学生の頃から仲良くしていた友達は3人だけでした。その3人を食事に誘って、恥ずかしげもなく堂々と借金を頼んでしまったのです。

すると、その内の2人は怒って帰ってしまいました。残ってくれた1人(A子)は話を聞いてくれたもののいい顔をしません。私が同僚に借りた分を返済してからまた話をしようと言われました。

私はそれでお金を貸してくれるならと、同僚にはお金を返しました。そして改めてA子と会いました。A子は30万円用意してくれていました。

それを貸すのではなく、あげると言われました。そして「もう会わない。連絡もしないでね。今の宗教を辞めるまでは」と。とても厳しい顔でした。

私がぼろぼろ泣いても優しい声を掛けてくれずに行ってしまいました。

それから友達の誰にも連絡はとれません。会社でも噂が広まり居場所はなくなって行きました。

会社を辞めてからはお布施も満足に払えなくなり、あれほど優しかった人達も冷たくなって行きました。そしてようやく目が覚めました。そして失ったものの大きさに初めて気づいたのです。

今、A子に借りた30万円を返そうと必死でアルバイトをしています。

お金を返した時に許してくれる事を信じて。